「すご〜い、やっぱり人多いね〜」
パレードの行われる通り沿い周辺は
どこを見渡しても溢れ返る雑踏でした。
二人はなるべく前の方に空いてる場所を探します。
「あっ、コロタン!、ここ空いてるよ!」
ポプリが偶然見つけたスペースに二人は入り込み、待機しました。
「やったー! ここなら目の前で見れそう!
時間間に合って本当よかったぁ〜。
そろそろ始まりそうだし、楽しみだね!」
「どんなロボット出でくるかな〜
やっぱり大っきくてかっこいいのかな〜
でも思ったより小さくてかわいいのかもしれないね。
他にはどんなおもちゃが出でくるのかな〜
ねぇ、コロタン!」
「……」
ロコタは急に口数が減りました。
「どうしたの、コロタン?」
「ポプリ、それが、、、
どうやらもう、エネルギーが
無くなってしまうようです」
「えっ!そんなー、、もうちょっとだから、頑張って!」
「もう駄目です、、スミマセン。
色々なことに夢中になってしまい、
残量の急な減りに気がつきませんでシタ。
気づいていれば、行動に制御ができたのですが…。
やはり私はあのダンサーの言う通りポンコツのようです」
「そんなこと無いよっ!」
ポプリは強い口調で言いました。
「ど、どうすればいいの!?
新しい"でんち"とか入れればいんじゃないの!
ねえ、探してくるから、教えてよ、コロタン!」
ポプリは必死に問いかけます。
「自分は古いタイプなので、
電池交換などは出来マセン。
エネルギーが尽きればそこでおしまいです」
ポプリはうつむいて顔を歪めています。
「きっとわたしが寄り道いっぱいしちゃったからエネルギーたくさん使っちゃったんだね…
広場であちこち行っちゃったし、
あのボールを追いかけたりしたし、
他にも…
まっすぐここまで来ればよかったんだ…」
ポプリは、これまで自分が色々と動き回り、その度にロコタに負担をかけていたのだと思いました。
そして、後悔しました。
「ですがポプリ、そうしていたからこそ我々は兵隊殿と出会えたのですよ。仕方ありマセン」
「でも、もし最初からコロタン一人だったら今日一日は絶対大丈夫だったよね、、わたしのせいだ…」
「どうしようっ、、
…ごめんなさいっ、、!」
ポプリが頭を下げてると、ロコタはポプリのフードを持ち上げ顔を上げさせました。
「いいえ、ポプリのせいではありマセン。
むしろ感謝していマス」
「あと少しの所で残念ではありますが、
今日一日、とても楽しかったデス。
列車で宙を舞ったり、
ピエロに翻弄されたり、
いけすかない踊り娘と踊ったり、
元気ハツラツのボールを追いかけたり、
空から街を眺めたり、、
最後に大切な思い出がデキマシタ。
もう充分です。
すべてはあなたのおかげ。
ありがとう、ポプリ…
兵隊殿にヨロシ… 」
「コロタン…?」
ロコタのおへその光は消え、
完全に動かなくなりました。
ポプリが何度体をゆらしても反応はありません。
もう、動かなくなってしまったことが悲しくて…
一番楽しみにしていたパレードをロコタが見られなかった事が、いやでいやで…たまらなくて…
ポプリは泣いてしまいました。
周りのおもちゃ達は、
ただ心配そうに眺めているだけでした。