「いててて…あれ、助かった?
コロタンは大丈夫!?」

「ハイ、こちらも大きな損傷などはアリマセン」

どうやらあれが、クッションになったみたいデスネ。

落下した先に偶然やわらかいものがあり二人は助かたったようです。

「コロタン、ここどこだろ…
暗くてよくわからないね…」

「ちょっとまってて下サイ」

そう言うとロコタはおへその光を待機モードから照明モードに変更しました。

ピカッ

「すごい、明るくなった!」

「これで大分ましになったと思いマス」



第十二曲 スモーキー・ギグ

暗い空間には煙が立ち込め、
かすかに機械音が鳴り響いていました。

「先に進んでみましょう。
地上への出口を探さなくてはなりませんノデ」

「う、うん…」

ポプリは、近くにいたスーパーボールを捕獲し、
先に進んで行きました。

「ポプリ、もしかして怖いのデスカ?」

「こ、こっこ、こここっ、、こわ、、、こわ、怖くなんて、な、なな、なっ、ななっ、ないもん!」

「大丈夫ですよ。
この街ではそうそう変な輩(やから)は出てきまセン」

「ちゃんとお外に戻れるかな?」

ポプリは不安そうに尋ねます。

「意図的に作られた空間のようですので、
いずれ出口が見つかると思いますよヨ…」

「コロタンは怖くないの?」

「まあ、ワタシの住んでいるところは、
周囲は山だけで夜は真っ暗ですから、
似たようなモノデス」

「そっか、でも自然はいっぱいだね。
うちは目の前が海なんだー」

「ウミ?
何ですか、それは?」

「えっ、海知らないの、コロタン?
えとね、海はね…えっとねえっとー、、ざざーって音がするおっきなおみ…」

「あっ、待って下さいポプリ、何か見えて来ましたよ!

おお、ココハ…!」

二人が目にしたのは
ベルトコンベアーに乗せられた
たくさんの壊れたおもちゃと、
それをプレスする機械でした。

「どうやらここは
おもちゃの廃棄処理施設のようデスネ」

「なんか可哀想な所だね、コロタン」

プレス機にかけられ、
バラバラになっていくおもちゃを見てポプリは悲しくなりました。

「そうですね、でも必要な場所デス」

皆、いつかは力尽きます。
永遠なんてないのですカラ。

「ポプリだって、いつかは倒れる時がくるのですよ」

「やだ、やだー、わたしプレス機に潰されたくないよぅっ」

「…いや、プレス機にかけられることはないでしょう。
そちら世界では、えっとー、…
最後は確か、かーそーーばーーーという所で強火で、
てっいやいや、やめましょうっか、この話ハッ

とにかく、終わったカラダの一部は
次のカラダへと再利用されます。
この国ではリサイクル事業を推進していますノデ!」

「りさいくる?」

「資源を無駄にしない、ということですヨ♩
さっポプリ、早く先へ行きマショウ」

油や埃(ほこり)にまみれた機械と配管の間を
二人は進んでいきます。

「それにしても、かなり大きな施設ですね。地上へのエレベータなどが必ずあるはずですが、見つけられるかドウカ…」

「時間に間に合わなかったらどうしよう、、」

ポプリは周囲の暗闇のせいか、珍しく弱気になっていました。

「その時はその時ですよ、ポプリ。
とにかく出口を探しましょう。
ポプリは左側を見ていて下さい。ワタシは右側を重点的に見渡して行きますノデ」

「うん…」

二人は薄暗い廃棄処理施設の中をさらに奥へと進んで行きました。

しばらく進むと…

「あれ、ちょっと待って!」

ポプリは急に立ち止まりました。

「どうしました! 何か見つけたのデスカ?」

聞こえる!



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