「お急ぎください。
特急トッテチッテタウン行きは
間も無く発車いたしま〜す」

そこにいたのは、ブロックでできた
オバケ車掌でした。

「ぅわっ、車掌さん、面白い体してるー!」

ポプリは興味津々で車掌の体をぺたぺた触ります。

「でもゴツゴツして体洗うの大変そうだねっ」

「ポプリ早く乗りましょう!
トッテチッテタウン行きは1日に一本しかありませんので。
これを逃すとジ・エンドデス!」

「一本って… ププッ…
それは、ド田舎の中のド田舎ね。 …プププッ…
ド田舎のチャンピオンね」

ポプリは自分の家も片田舎にあるくせに
少し馬鹿にしました。

二人が乗り込んだのは、カラフルな汽車のおもちゃ。
といってもこの世界ではちゃんと動きます。

「出発進行ー!」

第六曲 虹色列車エクスプレス

車掌の合図で汽車が動き出しはじめます。

「ポプリ、しっかりつかまっていて下さいね。
この国の汽車はめちゃくちゃ速いデスカラ」

「本当に速いねー、コロタン!
景色がビュンビュン動いてくよー」

「ハイ。トッテチッテタウンまではかなり距離があるのですが、このアホみたいに速い特急を使えば楽チンなのデス」

その列車は、猛スピードで
この世界の深い森の中を
駆け抜けて行きます。

辺りは見渡す限りの大自然。
トンネルや滝などをいくつも
超えて行きます。

「そうだコロタン、飴玉あげる♩

ふわふわチョップ味と、
ときめきアッパー味と
夕焼けブーメラン味、
どれがいい?」

「デハ、その黄色いのを」

「ときめきアッパーね、はい!」


パク…

「こっ、この突き上げるような
甘酸っぱさとほろ苦さハッ!…

コレハ、まさに青春の味!」

そうこうしている間にも、
列車はどんどん進んで行きます。

綺麗なお花畑を超え

食べたら絶対やばそうな
キノコの里を超え

「え〜間も無く〜
線路が一旦無くなります〜
ご注意下さ〜い」

「えっ、線路無くなるって!
大丈夫なの!コロタン?!」

オバケ車掌のアナウンスにポプリは慌てます。

「大丈夫です、
ここは車掌殿に身を任せマショウ!」

「見るのです、ポプリ、

あの自身に満ちた、車掌殿の目ヲ!」

列車はスピードを上げていきます。

「え、えっ! ほ、ほほ、本当! 大丈夫なのあの目!?」

ポプリは(天国へ行く)覚悟を決めます。

二人とも息を飲み、 列車のてすりにしがみつきます。

「うわーーーーーーーーーーっ!」

特急列車は宙を舞いました。

ガッシャン!!!

そして再び線路へ見事、着地します。

こうして列車はあっという間に
目的の駅、終点トッテチッテタウン前に着きました。

「ふあーー、助かったー!
ジェットコースターみたいで凄かったね、コロタン!」

「はい。しかも安全性の確認はおそらくとれてないでしょう。あのオバケ車掌、なかなかハードボイルドデス!」

普段物落ちしないポプリも、
少し肝を冷やしたようです。



二人は駅舎を出て、
早速街へ入って行きました。




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